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犬のお父さんのしたたかさ

♬ 噂話も 全てタダ ♪ 別れ話も 全てタダ タダタダタダ友 なみだ雨 このところ停滞感があった ソフトバンクの「犬のお父さん」シリーズ。 浜崎あゆみを起用した10月のバージョンに注目しています。 特に歌詞にクリエイターの企みの深さを感じずにいられません。 演歌独特のメロディーはあるものの、 歌詞自体は告知目的のメッセージです。 それがなぜ演歌の楽曲として成立しているのか? それは「なみだ雨」に集約されるのです。 これは日本では井上陽水、 その根源にはアメリカのフォークの神様 ボブ・ディランにも共通する歌詞のつくり方です。 途中の歌詞はタイトルとまったく関係のない情景を歌い、 最後に決めの言葉を唐突にぶつける。 「傘がない」や「夢の中へ」、「氷の世界」に顕著です。 陽水はこの歌詞が作りだす世界(叙景と叙情のぶつかり合い)で 独特の世界を作り上げました。 それと同じような発想でつくられていると思うのです。 これが意図したものであるのは明らかです。 並みのクリエイターやスポンサーなら、 ここは会社名なり商品名を入れて訴求を狙う部分です。 ところが、なみだ雨~と歌い上げることで演歌の世界を形成する。 それによって「浜崎あゆみ」が「演歌を歌う」CMという 強い個性と、パナソニックとの差別化を主張している。 それこそがより強い訴求力として、 視聴者=消費者に届くことを狙っているに違いないのです。 まさにクリエイターの才能の高さと 表現者としてのしたたかさを感じずにはいられない秀作です。 このCMのシリーズには、 随所にクリエイターの細部へのこだわりが強く感じられます。 だからこそ、 あの突拍子もない設定でも受け入れられる世界を作れるのです。 今回の作品でも 浜崎あゆみが何気なくヴィブラスラップを持っていること。 私は見逃してはいませんよ