NHKの製作したドキュメンタリーの新しい試みの作品をもう1本紹介したい。 「 女と男 」だ。 これは女と男の違いを最新の科学で解き明かしてゆくというのがテーマ。 3回シリーズとして制作されたうちの2本を視た。 2回目は「女は地図が読めない」というところから、脳の使っている部分が男女で異なるということを解明している。 そして、そうした違いはなんと人類が発生した頃の狩猟時代から始まったというのである。 男は空間を認識する力に長け、女は目印をうまく活用する能力を身につけたのだそうだ。 こうした能力の違いが今の私たちにもつながっているのだという。 男女の能力についての研究を基に、医学や教育などではじまっている男女差に注目する新たなムーブメントを紹介していた。 3回目は、近い将来男が消えるという、染色体についての研究を紹介していた。 男性を形作るY染色体は滅びる運命にあるというのである。 それは早ければ来週にも、遅くとも500万年以内に起こるという。 加えて、その染色体を決める精子も劣化しているということをチンパンジーの精子と比較して紹介している。 その原因は一夫一婦制だというのである。 人類はこのまま滅んでゆくのか。 それとも科学の力で子供を産み、種を繋いでゆくのか。 最新の生殖技術などもあわせて見せている。 男女の違いを科学的に解明するというと、どうも難しい内容になると想像される。 ところがこの番組では入り口をとても平易なところに置いている。 だれもが「そうそう!」と納得できるところも親近感が感じられて良い。 それは「 解体新ショー 」がつくりだした手法から導き出されたであろうことは想像に難くない。 それからこの番組では筧利夫と西田尚美のミニドラマが随所に挿入される。 ドキュメンタリー部分を視ている人という設定で、必ずしも内容とは一致しないところがまた良い。 いわゆるドキュメンタリードラマのような手法をとらないところを高く評価したい。 尚、3回目には西田の父親役できたろうさんも出演し、シティーボーイズのコントさながらの独特の雰囲気で空気を和らげていた。 N特の人体を科学するシリーズの番組はこうした工夫をとっている番組が前にもあった。 「病の起源」シリーズでは全6回に樹木希林さんや柄本明さん、渡辺えり子さんら俳優陣が案内役となっていた。 ドキュメンタリーというとどこか堅苦し
私にとってテレビとは――
遠くにある「今」を伝えるもの
それは空間的な距離だけではなく、イマジネーションの遠く…
30年以上に亘って生きてきたテレビの世界。
今その世界に別れを告げ、客観的に視ることができるようになった。
これから先、テレビはどこに行くのだろう。どうなってゆくのだろう。
そんな意識を持ちながら、テレビの今を見つめます。
ちょうど親たちの老後を心配していた時のように。