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7月, 2011の投稿を表示しています

心地よい緊迫感の俊足ドラマ

CXの「 絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~ 」が面白い。 昨年の「 絶対零度~未解決事件特命捜査~ 」のSeason2だ。 前シリーズは若くてドジな刑事桜木泉(上戸彩)の成長日記のようなストーリーだった。 ある意味上戸彩の魅力がメインになった、ありきたりなドラマだった。 ところが、リニューアルされ、任務も変わって番組自体の空気も一変した。 今シリーズは一言でいえばスパイ映画。 変装、潜入、嘘、盗聴などあらゆる手段で容疑者に接近し、情報を集め、事件解決につなげる。 そんな中で、主人公泉の葛藤が横軸に流れる。 番組全体を緊迫感が包み、駆け足で進むようなテンポはあるとき視聴者を置き去りにしてゆくようだ。 何より、尾行シーンの演出が秀逸だ。 昔、「太陽に吠えろ」では捜査員たちがチームワークで次々とリレーしながら犯人を尾行した。 それと匹敵するような緊張した尾行を随所に見せてくれる。 「24 -TWENTY FOUR-」以来流行している映像処理も上手く取り入れ、緊張感を作り出している。 ただ欲をいえば、スタッフが乗り込む偽装トラックの装備がちょっとチャチ。 「エネミー・オブ・アメリカ」程ではなくとも、ハイテク感は出して欲しい。 それと他の刑事ドラマにあるような説明的な部分がまったくないために、ちょっと目を離すと展開が見えなくなる。 ここに何か工夫があっても良いと感じた。 出演者の顔ぶれを見れば、テレビ朝日の「 ジウ~警視庁特殊犯捜査係~ 」にも期待したい。 黒木メイサと多部未華子という、これからのドラマ界で重要な意味を持つであろう二人の競演には興味を惹かれる。 初回を見る限り、期待を裏切られることはなさそうだ。 来週以降を楽しみにしたい。 しかし、「特殊犯罪捜査対策室」といい、「特殊犯捜査係(SIT)」といい、特殊な世界で活躍する刑事ドラマが主流になってきた。 それを否定する気はないが、できることなら王道の捜査一課が活躍するストーリーというのも見たい。 秋の編成に期待しよう。

オヤジが泣けるドラマ

6月26日、TBSの「 Jin―仁― 」が終わった。 最終回は26%の視聴率を記録したという。 最近のドラマでは驚異的な数字だ。 この視聴率の原動力となったのは、オヤジ層の支持だろう。 実際私が視るようになったきっかけは、知らぬ間に涙があふれたからだ。 涙を誘うといっても悲劇が繰り返されるわけではない。 村上もとかのマンガを原作にしたこのドラマは、現代の脳外科医・南方仁が幕末にタイムスリップして直面する出来事を描いた。 過去の人々の運命を変え、歴史を書き換える可能性に葛藤しながらも、近代医療を応用して人々を救う。 その過程で勝海舟や坂本龍馬、西郷隆盛など歴史上の人物と深くかかわって行く。 そのストーリーの荒唐無稽さと、随所に鏤められた、昔の大映テレビ室のドラマのような臭い台詞がオヤジの涙を誘った。 また、ドラマの中で繰り返される「神は乗り越えられる試練しか与えない」という台詞に、現実をオーバーラップさせたのかもしれない。 番組が狙った、「生きる」という意味の本質、懸命に生きる事の大切さ、人が人を想う気持ちの美しさ、そして人の笑顔の輝きが、素直に視聴者に伝わった証しといえるだろう。 ところで、私がこのドラマにひきつけられたのはもう一つ理由がある。 それは橘咲を演じた綾瀬はるかの魅力だ。 日本の美人女優を語る上で「お姫様女優」というくくりがあった。 東映の時代劇が全盛期だった頃のことだ。 佐久間良子、三田佳子などを輩出した。 ただ美しいというだけでなく、町娘にはない気品と芯の強さを漂わせていることが必須条件だった。 時代劇が衰退し、最後のお姫様女優といわれた藤純子(富司純子)が緋牡丹お竜となって、この譜系は途絶えていた。 その後大奥物などの映画もあったが、「お姫様女優」といえるほど存在感を示した人はいなかった。 「Jin―仁―」の中で、綾瀬はるかはその復活を感じさせてくれた。 「天然」ともいわれる本人のキャラクターもあるのだろうが、おっとりした面としっかり者の面を併せ持った武家の娘を見事に演じていた。 その魅力は中谷美紀や、麻生祐未など卓越した演技力を持った女優たちの中でも煌いていた。 今は時代劇が制作されることは難しいが、もっと彼女のお姫様姿を見たいと感じた。 とはいえ、このドラマも完結。 これからも、オヤジが家族に