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7月, 2009の投稿を表示しています

制作会社が直面する厳しい現実

今、番組制作会社にかつてないほどの危機が迫っている。 それはテレビの破綻にも通じかねない危険性を含んでいる。 その脅威は、実は制作会社とテレビ局との関係が生み出しているとしか考えられない。 根本的な原因はテレビ局にある。 ほとんど全てのテレビ局は、企画に関して表向き門戸を開放している。 編成局が中心となって、良い企画があればどんどん採用すると明言しているのだ。 ところが、現実は制作会社にとってそれ程恵まれたものではない。 仮に企画書を受け取ってくれたとしても、読んではくれないという。 制作局のプロデューサーにせよ、編成局にせよ、企画を受け付けるのは実績のある制作会社だけだというのだ。 だから中小の制作会社は、何とかして局のプロデューサーと人的交流を作ろうとする。 その第一歩はADの派遣だ。 私達がテレビに入った頃とは比較にならないほど人気がなくなっているAD。 そんな今でも消耗品であるということは変わらない。 1週間と持たずに辞めて行くなんていうことはさほど珍しいことではない。 常に人材不足、というより人員不足。 そこにせっせと人を供給することで、プロデューサーとの関係を構築しようというのだ。 少しでも恩を売る形になれば番組制作のチャンスが生まれるかもしれない。 ようやく制作のチャンスが生まれると、AD派遣の投資分も取り返そうと思って利潤追求を狙うから、余計品質が下がる。 ところが局の方は制作会社を出入りの業者程にも見ていない。 だから制作費は出さないくせに要求だけは山ほど出してくる。 この要求を呑まなければもう次のチャンスはないから、赤字覚悟で現場をころがすしかない。 そうしたことから倒産する制作会社が5年ほど前からどんどん増えているという。 もう一つ大きな脅威となっているのがプロダクションの制作部門や関連会社の進出だ。 吉本興業や渡辺プロ、ホリプロなど大手のプロダクションが所属する人気タレントの出演を条件にした番組を企画し、制作するのだ。 その分かりやすい例は、CXで渡辺プロが制作しているの「 ウチくる!? 」だ。 中山秀征はじめ、青木さやか、ビビる大木と渡辺プロのタレントが顔を連ねる。 制作力や演出力はさておき、実績のあるタレントや今ノッテいる人気者が出演するのだから、それなりのクォリティーは確保できる。 テレビ局にとってはとっても安心できる番組となるわけだ。

4~6月の番組をザッとレビュー
ドキュメンタリー篇

NHKがドキュメンタリー・教養というジャンルに特に力を傾けている印象を受ける。 「 追跡!A to Z 」や「 ワンダー×ワンダー 」など番組数も増えているようだ。 それぞれ、どうだ!とばかりの取材力を駆使したものあり、CGや特殊機材を駆使した謎解きありと、良きにつけ悪しきにつけNHKらしい番組となっている。 そんな中で私が注目している番組が3つある。 その一つは木曜日の23時から放送されている「 大人ドリル 」だ。 これは加藤浩次と渡辺満里奈に、各回のテーマにあわせたスペシャリストであるNHKの解説委員陣が解説してゆくという番組。 こう書くととても堅苦しそうな番組思えるけれど、実はそんなことはない。 いってみれは大人のための「子供ニュース」のように、身近な大問題をとても分かりやすく解説してくれる。 何より解説委員たちの表情が「 時論公論 」のように、いかにも「私はNHKの解説委員ダカンネ!」となっていないのが良い。 時に解説委員同士の見解の違いがあると、しっかりやりあってくれたりして、それはそれで楽しい。 こうした空気を導き出す2人のMCの力も侮れない。 教養番組という範疇でありながら、高尚な娯楽番組を視るような気分で楽しみながら視る事ができる。 40人も解説委員をかかえているNHKならではの番組として光を放っている番組だ。 もう一つは「 チェンジメーカー 」という番組。 しっかりお金儲けをしながら世の中を変えていく社会起業家たちを紹介している。 貧困、環境、紛争などの問題を独自のアイデアで解決し、市場システムを利用して利潤をあげ、活動を維持、発展させていく人たちの物語だ。 私達が発展途上国への貢献ということを考える時すぐに思い浮かぶのはボランティアだったり、寄付だったりする。 それはどこか面映ゆい思いをすることも否めない。 それが本当に現地の人達のために役立っているか疑問に思うこともある。 だが、世界的な難題にビジネスという観点から立ち向かうという発想はちょっと驚き。 潔く思える。 もちろん起業家といってもビルが建つような巨万の富を狙うというわけではない。 その活動を続けるための収入の道を確保するというレベルのことだ。 こうした活動を維持し、発展させてゆくところにまで視野に入れている姿は頼もしささえ感じさせてくれる。 新たな海外協力の形を提示してくれる番組として