4月以来ジックリとテレビに向き合うことがなかったため、暫く休眠状態にしていた。
ちゃんと視てもいないのに、批評めいたことを書くことが僭越なことと思ったからだ。
ただ、何もしないというのもどこか寂しい気がする。
ということで、6月も終わろうとしているところで、4月からの1クールをトータル的に振り返ることにした。
今日はちょっと心惹かれたドラマについて。
CXの「 BOSS」は映像処理と天海祐希さんの魅力で存在感を持った番組だった。
個人的には戸田恵梨香さんと吉瀬美智子さん目当てでチャンネルを合わせた。
スタート当初は明らかに「24」に影響を受けた映像に対してストーリーに物足りなさを感じていた。
キャストの顔ぶれや、そのキャラクター付けがいかにも《狙いました》という感じであることもその要因だったろう。
ストーリー展開のテンポも空回りしているような感があった。
ところが、6話で志田未来さんが演じる高校生が犯人となった回でこの番組の目指すところがハッキリしたようだ。
卓越した能力で捜査陣の大人たちを手玉に取る女子高生を演じた志田未来さん。
その天才的な演技力を引き出したストーリーはこのシリーズの中でも高いレベルにあったに違いない。
天海祐希さんと志田未来さんのやりとりは、二人の歳の差を感じさせない白熱した空気を画面から発散していた。
きっとこの作品で作り手側が狙っていたのは、こうした心理戦だったと思う。
そこには林宏司脚本の煌きがあった。
彼の作品で記憶に残るのは、同じCXの「コードブルー」だ。
この作品では若い救命救急医の心の葛藤=静と、ヘリで出動し災害現場で働く動の切替を巧みに編上げられていた。
そしてちょっとした笑いを誘う部分も隠し味として効いていた。
それこそが林宏司さん脚本の世界ということなのだろう。
このドラマが目指したのは、映像処理と同様に「24」が作り上げたような緊迫の心理戦の時間だったのだろう。
ただ、緊迫した容疑者と主人公の捜査に対して、レギュラー陣の日常やキャラクターづけなどにくどさを感じた。
とはいうものの、最近もう食傷気味になっているテレビ朝日的サスペンスとは違う新しい刑事ドラマを作り上げたのは、高く評価したい。
そのテレビ朝日の2本のドラマにも注目したが、残念ながら健闘どまりの作品だった。
それは「臨場」と「夜光の階段」だ。
「臨場」は内野聖陽さん演ずる実力はあるが破天荒な検視官が主人公。
暗い過去を持つという点では彼の前作「ゴンゾウ」にも通じるもので、破天荒な性格というのも同じ。
簡単にいってしまえば新鮮味は無い。
「ゴンゾウ」の方がストーリーの緻密さや出演者達の顔ぶれなど充実していただけに、「臨場」には物足りなさを感じてしまった。
内野聖陽さんほどの役者であればもっと違った役作りを見せてくれるかと思ったが、期待したほどではなかった。
「夜光の階段」は松本清張の原作を現代に置き換えたサスペンスドラマ。
脚本も松本清張作品を多く手懸けている竹山洋さんとなれば期待度は高くなる。
数々の女性を踏み台にしながら富と名声を勝ち取る藤木直人さんと彼を陰ながら愛する夏川結衣さんは好演だった。
しかし、その他の出演者がどうにも物足りない。
中でも、木村佳乃さんと室井滋さんの演技には大きな疑問を感じされられた。
映像的にも、全体的にサイズが狭いのでハイソサエティの豪華さが感じられない。
何世代も前のテレビドラマを見せられているようだった。
何より感じるのは10本連続という回数の多さだ。
以前にも書いたが、こうした緊張感があふれる作品を10回連続させるというのはいかがなものか。
1クールという概念はテレビ局の都合であって、視る側に押し付けられるのは勘弁していただきたい。
NHKがやっているように、3本とか5本連続というものがあってもよいのではないか。
テレビ朝日では「刑事一代」を視たいと思っていたが、時間がなかった。
視聴率的にも高かったようなので、ちょっと残念。
ここ数年意欲的な番組を作り出しているテレビ朝日だけに今後の新たなチャレンジに期待したい。
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