ANBの土曜ワイド劇場で「 火炎調査官・紅蓮次郎スペシャル 」が放送された。 サスペンスの帝王船越英一郎が主演するシリーズの第10弾だ。 火災調査官が火事に隠された殺人事件を、その焼け跡に残された痕跡から解決する。 「科捜研の女」と同様、科学的な分析と検証から導き出される殺しのトリック。 それを見破る実験が、予想を裏切る犯人を導き出す。 ストーリーとはあまり関係のない紅蓮次郎の生活環境の描き方も、元夢の遊民社の山下容莉枝さんが達者な演技で手を抜いていない。 というわけで、船越英一郎さんの演技の臭さに目をつぶって楽しみにしていた。 ところが、2月13日の回はそうした私の思いを見事に裏切ってくれた。 この回は消火の最前線に立つ筒先が志望の西島桜という女性が出てくる。 もちろん、彼女のそうした思い入れの背景には理由がある。 だが、まったく火災調査にやる気を見せないこの女性像の描き方が、なんとも稚拙。 目指す筒先をになるために焦る姿も目を覆いたくなるほど。 中でも桜が元の部署の上司から「女を捨てろ」といわれたのを思い出し、男の隊員が入っているシャワーに入ってゆくなんて…トホホ。 視ていて恥ずかしくなるほどどうしようもない台詞と演技だった。 これがメインの殺人事件とは直接関係のないサイドストーリーだから、邪魔以外の何者でもない。 こんなものがあるため、ストーリーに集中できなかった。 それ以外の部分はいつもの通りのできばえだっただけに、もったいないとしか思えなかった。 シリーズを重ねると、どうしても作り手の側がマンネリ感を持ってしまう。 そこでテーマを引き立たせるためにいろいろと試みることはある。 今回の場合、「灰の中に真実がある」という火災調査官の仕事を際立たせるための選択だったのだろう。 それが上手く描き出せなかったという結果に終わったということだ。 このドラマのファンとしては、もっと作品のおもしろさの原点である科学的立証というところに力を注いで欲しかった。 前回の作品は、そうした面から見て良いできだった。 中澤裕子さんはもっと上手い役者だという感じがしたが、床嶋佳子さん、渡辺典子さんは見ごたえのある演技を見せてくれた。 それだけに余計残念な思いが強くなる。 次回はマニアも納得させる内容で楽しませてくれることを祈り...
私にとってテレビとは――
遠くにある「今」を伝えるもの
それは空間的な距離だけではなく、イマジネーションの遠く…
30年以上に亘って生きてきたテレビの世界。
今その世界に別れを告げ、客観的に視ることができるようになった。
これから先、テレビはどこに行くのだろう。どうなってゆくのだろう。
そんな意識を持ちながら、テレビの今を見つめます。
ちょうど親たちの老後を心配していた時のように。