今は昔。
TBSに「ザ・ガードマン」というドラマがあった。
一般社会で警備会社がスタートした頃のことだ。
警察官と見まごうアクションで、毎週次々と犯人を捕まえていた。
そのボス役が宇津井健さんだ。
陣頭に立って指揮に当たり、凶悪犯人に立ち向かっていた。
まだ幼い頃の番組だったので細かいストーリーまでは覚えていない。
けれど、登場人物がスタイリッシュで(1名を除く)、痛快アクションが売りの娯楽番組だったという記憶がある。
人情味はあるけれど、それが売り物ではない。
もちろん、犯人や被害者の裏にある人間ドラマや、密室殺人の謎解きといった楽しみとは別のジャンルのものだった。
ただ、警備会社という新しい業種と、そこで働く警察官とは違ったスマートなガードマンによって「時代」を切り取っていた。
そしてこの後、「キーハンター」や「Gメン75」へと進化してゆく。
そんな大昔の番組を思い出させる番組がある。
TBSの「ハンチョウ~神南署安積班~シリーズ2」だ。
主人公の安積班長(佐々木蔵之介)はまさに宇津井健さんのリーダーと同様、陣頭指揮を執りながら事件を解決する。
ただ、内容はとても褒められた出来ではない。
いまどき使い古された設定。
ステレオタイプ化され、見飽きた登場人物。
そのキャラクターに新鮮味はない。
神南署ということで渋谷を管轄する所轄の警察署が舞台だ。
だが、若者の街という側面も、大都会という舞台で勃発した事件というような関連性はない。
舞台が渋谷である意味はまったく感じられない。
クサイ台詞と、まるでご都合主義のように次々と事実が割り出され、犯人像が明るみになってゆくストーリー展開。
出演者たちの演技も低レベルだ。
番組サイトでは『感動できるヒューマンドラマ』や『より刑事ドラマらしさ』、『幅広い層が楽しめるドラマ』といった言葉が並ぶ。
だが、そうしたねらいが生かされているとは思えない。
どこをとってもなぜこんな番組がゴールデンタイムに放送されるか理解できない。
これがシリーズ2作目ということだから恐れ入る。
すべてがどうしようもなくパターン化するのなら、せめて主人公たちだけでももっとスタイリッシュで格好良く描いて欲しい。
そこで思い出したのが「ザ・ガードマン」の宇津井健さんだったわけだ。
月曜夜8時のパナソニック ドラマシアターということで「水戸黄門」の交替枠だから、こんなレベルでも肩がこらなくて良いということか。
今やTBSではこんなドラマしかできなくなってしまったのだろうか。
こんな番組を見せられる視聴者が一番不幸だ。
コメント
コメントを投稿