2月6日CXで「剣客商売スペシャル~道場破り~」が放送された。
「剣客商売」はこれまで1時間わくだったが、今回はその2時間スペシャル。
池波正太郎の原作に金子成人が脚本を担当。
池波作品の持ち味である江戸の町の情緒や人情を見事に描きこんでいた。
切なくも心温まる親子愛がストーリーの柱で、金子脚本は登場人物の心の襞までしっかり描きこんでいた。
とても見ごたえのある作品だった。
番組サイトでは『痛快娯楽時代劇シリーズ待望の新作登場!』と謳っている。
しかし今回の作品には『痛快娯楽』という表現は当たらない。
もちろん立ち回りもあるし、勧善懲悪の物語なのだが、だからといって普通のチャンバラと一緒には括れない。
今回は中村梅雀がゲストで、剣一筋に生きた男、鷲巣見平助を演じていた。
平助は、愛する家族を捨てて剣客として全国を行脚した挙句江戸に戻ってくる。
しかし、愛妻は既にこの世にはなく、残された娘は病に冒された大工と貧しい生活に追われている。
そこに悪徳医者や薬問屋などがからんでくる。
『水戸黄門』なら風車の弥七が窮状を助けて助さん格さんの出番となり、
『必殺シリーズ』ならこの夫婦は殺されて、恨みを晴らすことを仕置き人に託す、
となるのだが、この作品ではあっさり町方の役人が踏み込んで悪人を御用にしてしまう。
悲劇はもっと別のところに用意されていたのだ。
中村梅雀さんはその容姿から滲み出すあたたかさをベースに、子を思う優しさと、剣に一途な無邪気ささえも見事に表現していた。
道場破りの立ち回りでは剣豪としての厳しい表情も見せていた。
主演の藤田まことさんはさすがに御年のせいか、立ち回りは最後のシーンだけだったが、老域に入った剣の達人の風格を見事に醸し出していた。
鷲巣見平助の身の上話を聞くシーンでは画面全体から緊張感さえも漂ってきた。
地味なシーンだが見ごたえがあった。
藤田まことさんの息子を演じる山口馬木也さんも剣客としての立ち居振る舞いが板についていた。
それ以上に、息子の妻を演じた寺島しのぶさんの演技が出色だった。
鷲巣見平助との立会いに臨む夫を送り出すシーンでは、背中越しのカットに短いせりふなのだが、剣客を支える妻の気丈振りがその背中からにじみ出ていた。
今こうした賢妻を演じさせたら右に出る人はいないのではないか。
また、カット割りや映像のサイズも、和やかな生活観と程よい緊張感を漂わせていたし、ゆったりとしたテンポの編集にも好感が持てた。
バタバタせず、安定した映像演出は安心して視ることができた。
NHKの大河ドラマでさえ、ハンディのアップが当たり前となった今、あらためて安定した画郭の伝えるものの多さを実感できた。
時代劇といえば「水戸黄門」というのも理解できなくはないが、たまにはこの作品とか、北大路欣也さんの“死神伝十郎”のような、画面全体から緊張感あふれる作品も悪くないと再確認した。
金曜プレステージ枠で制作されているドラマは、そのほとんどが低レベルの作品ばかりで、いつもそれ程の期待はしていない。
しかし、今回はNTVの「崖の上のポニョ」の裏番組として、しっかりと存在感を示した秀作だった。
視聴率的には惨敗かもしれないが、ある程度の年齢層の人たちにはぜひ見て欲しい作品だった。
「剣客商売」はこれまで1時間わくだったが、今回はその2時間スペシャル。
池波正太郎の原作に金子成人が脚本を担当。
池波作品の持ち味である江戸の町の情緒や人情を見事に描きこんでいた。
切なくも心温まる親子愛がストーリーの柱で、金子脚本は登場人物の心の襞までしっかり描きこんでいた。
とても見ごたえのある作品だった。
番組サイトでは『痛快娯楽時代劇シリーズ待望の新作登場!』と謳っている。
しかし今回の作品には『痛快娯楽』という表現は当たらない。
もちろん立ち回りもあるし、勧善懲悪の物語なのだが、だからといって普通のチャンバラと一緒には括れない。
今回は中村梅雀がゲストで、剣一筋に生きた男、鷲巣見平助を演じていた。
平助は、愛する家族を捨てて剣客として全国を行脚した挙句江戸に戻ってくる。
しかし、愛妻は既にこの世にはなく、残された娘は病に冒された大工と貧しい生活に追われている。
そこに悪徳医者や薬問屋などがからんでくる。
『水戸黄門』なら風車の弥七が窮状を助けて助さん格さんの出番となり、
『必殺シリーズ』ならこの夫婦は殺されて、恨みを晴らすことを仕置き人に託す、
となるのだが、この作品ではあっさり町方の役人が踏み込んで悪人を御用にしてしまう。
悲劇はもっと別のところに用意されていたのだ。
中村梅雀さんはその容姿から滲み出すあたたかさをベースに、子を思う優しさと、剣に一途な無邪気ささえも見事に表現していた。
道場破りの立ち回りでは剣豪としての厳しい表情も見せていた。
主演の藤田まことさんはさすがに御年のせいか、立ち回りは最後のシーンだけだったが、老域に入った剣の達人の風格を見事に醸し出していた。
鷲巣見平助の身の上話を聞くシーンでは画面全体から緊張感さえも漂ってきた。
地味なシーンだが見ごたえがあった。
藤田まことさんの息子を演じる山口馬木也さんも剣客としての立ち居振る舞いが板についていた。
それ以上に、息子の妻を演じた寺島しのぶさんの演技が出色だった。
鷲巣見平助との立会いに臨む夫を送り出すシーンでは、背中越しのカットに短いせりふなのだが、剣客を支える妻の気丈振りがその背中からにじみ出ていた。
今こうした賢妻を演じさせたら右に出る人はいないのではないか。
また、カット割りや映像のサイズも、和やかな生活観と程よい緊張感を漂わせていたし、ゆったりとしたテンポの編集にも好感が持てた。
バタバタせず、安定した映像演出は安心して視ることができた。
NHKの大河ドラマでさえ、ハンディのアップが当たり前となった今、あらためて安定した画郭の伝えるものの多さを実感できた。
時代劇といえば「水戸黄門」というのも理解できなくはないが、たまにはこの作品とか、北大路欣也さんの“死神伝十郎”のような、画面全体から緊張感あふれる作品も悪くないと再確認した。
金曜プレステージ枠で制作されているドラマは、そのほとんどが低レベルの作品ばかりで、いつもそれ程の期待はしていない。
しかし、今回はNTVの「崖の上のポニョ」の裏番組として、しっかりと存在感を示した秀作だった。
視聴率的には惨敗かもしれないが、ある程度の年齢層の人たちにはぜひ見て欲しい作品だった。
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