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低調な新ドラマにガマン


新年に入ってビッグネームの脚本家によるドラマがスタートしている。
TBSでは野島伸司さんの「ラブシャッフル」。
フジテレビでは山田太一さんの「ありふれた奇跡」。
主演は、TBSが玉木宏さんと香里奈さん、CXが仲間由紀恵さんという、それぞれの意欲が感じられる顔ぶれだ。

ただ、この2作、どうも好感が持てるできとはいいがたい。
その理由として、この2作に共通するいくつかの要因がある。
第1.設定に一般性がない。
「ラブシャッフル」は高級マンションの同じフロアに住む若い男女が恋人を交換するという。
その出会いが、乗り合わせたエレベーターが停電したことからいきなり始まる。
一方「ありふれた奇跡」は自殺しようとした人を救った二人の男女が、実はそれぞれ過去に自殺を考ええたことがある。
その二人と自殺未遂者(陣内孝則)がどんどん関係を深めてゆく。
ドラマなんてそんなもの、といってしまえばそれまでだが、この物語の入り口ってリアリティーがあるのだろうか???

第2.台詞がとても唐突に展開する。
そして、その一言一言が噛み合わないというのも似ている。
極端にいってしまえば、言葉がコミュニケーションの手段になっていない。
きっとそれによってそれぞれのキャストのキャラクターを際立たせるためのものだろう。
確かに、それぞれの脚本家らしい切り口で人間の心理を描き分けているというのは理解できる。
ただ、それが果たしてストーリーの展開に効果があるかどうかは疑問だ。
どちらもありえないような奇跡的な出会いから始まるものだけに、どんどん視聴者が置き去りにされているように感じられてならない。
演出もそうした台詞回しに対して効果的な映像を作り出しているとはいえないところに、この懸念が真実味を持っていると思うのだが…。

第3.比較される番組があるということ。
「ラブシャッフル」は野島伸司版の「男女七人夏物語」が企画の元になっているようだ。
視ているだけでそんなイメージは感じられた。
この先いろいろな面で比べて語られることもあるかもしれない。
まだ初回で、いろいろの要素をつめこまなければならず、慌ただしい感じを受けたのかもしれない。
この先、野島伸司脚本ならではの人間性が描き出されることを期待しよう。
できることなら「一つ屋根の下で」のような爽やかな感動を与えてくれるドラマになると、個人的には嬉しいのだが…。
一方、「ありふれた奇跡」の方は前作の「風のガーデン」を書いた倉本聰さんとの比較がなされるのではないか。
いずれも大ベテランで、脚本家界の大巨塔の作品。
いずれもフジテレビ50周年記念番組という位置づけも同じ。
作品の内容だけでなく、視聴率などでも比べられることは十分想像できる。
こちらも、山田太一カラーがより鮮明に、分かり易く発揮されることを期待したい。
ただ、あの独特のぶつ切りにされた短い言葉の流れには馴染めないのだが。

いずれにせよ、二人の日本を代表する脚本家の作品。
これから視聴者の予想しないようなサプライズを持った展開があることだろう。
それまで見づらいところは我慢して視てゆくことにしよう。
まあこんな風にいったところで、もう収録も終わっているのだろうから、間に合うわけないか。
今後の展開を静観しよう。

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