多分15年以上ぶりに日本で新年を迎えた。
いつもバンコクで新年を迎えていたので、寒い新年というのは本当に久しぶりだ。
バンコクではいろいろなところに出没して、カウントダウンイベントに年甲斐もなく参加していた。
いつも夜通し飲み続けていたのが、今は懐かしい。
というわけで、大晦日は本当に久々にNHKの「紅白歌合戦」を視た。
どうも、視聴率の低下に歯止めがかからないらしい。
新聞や民放などによると、NHKは視聴率獲得に躍起になっているそうだ。
確か一昨年はとうとう40%を割ったと大きく報じられていた。
だが、これほどテレビ離れが進む中、それだけの数字を記録するというのは驚異的だと思う。
だって、15年前20%以上だった野球がシングルになる時代。
20%とったらバケモノとまでいわれるようになっているのだ。
テレビの全体的な趨勢を考えれば、今でも40%というのはその当時の60%くらいの価値は十分あると思うのだが…。
ところが、新聞や民放が指摘しているNHKの焦りというのは本当のようだ。
それは出場歌手の顔ぶれを見れば一目瞭然。
何とか年齢性別に関係なくチャンネルをあわさせようという意図が見え見えだ。
それに輪をかけて、構成も演出も統一性が全くないのもそのプレッシャーによる影響だろう。
あんなに紅組と白組が互いに助け合っているのなら、何が歌合戦かといいたくなる。
それでいてどっちが勝ったと喜ばれたところで真実味もあったものではない。
それでいて強引に今年のテーマと話題を結び付けようとするからおもしろくもなんともない。
それにわけの分からない出演者が賑やかしに出てくるにいたってはまったく時間の無駄以外ではない。
そんな時間があるのなら、歌を1コーラス半にしないでもっとジックリ聞かせて欲しいと思うのは私だけだろうか。
制作担当者は、もう一度紅白歌合戦の原点に戻って向き合うべきだろう。
歌合戦にこだわるなら、シンプルに1対戦ごとにどっちが勝ったくらいの勝負性を持たしてもよいかもしれない。
無責任にいわせてもらえば、構成や演出、カメラ、照明に至まで全て紅白に分けてみたらどうだろう。
出演者も含め全員が「One for All, All for One」の空気の中でより良い物を作り出す努力をする。
徹底的に紅白の違いを際立たせれば、対戦色は強くなり緊張感も高まる。
今年の藤あや子の歌に早乙女太一の踊りが組み合わされるなんていう歌手の持ち味を殺すような演出はされなくなるはずだ。
もう一つ別の視点から考えれば、紅白はその一年を象徴する歌なり、歌手がその総決算として歌う場という面もある。
その点に力を注げば、出場歌手の選考基準だって変わるかもしれない。
また「千の風~」と思ったのは私だけだろうか。
そんな贅肉を削ぎ落として、しっかりとその一年を歌で振り返るというのも重要なことだ。
テレビサイズの歌ではなんとも興ざめだ。
もっとしっかり、ジックリ聞かせて欲しいと思うのだが…。
前日のレコード大賞が想像を絶するできの悪さだったので、期待感が低くなっていたのだろうか。
やっぱり…というか、予想通りのレベルの低さだった、という訳の分からない安堵感に包まれた番組だった。
音楽番組の演出力が低下しているというのは、各局に共通する紛れもない現実なのだろう。
もっとビシビシ厳しく書こうと思っていたのだが、それすらもする気にならない。
それ程、しっかりと視たいと思わせてくれない番組であった。
しかし、テレビというのは本当はそういうものでよいのかもしれないな。
NHKさん、視聴率50%なんていう幻影には惑わされず、音楽番組の頂点としての質の高さを目指したらいかがでしょうか。
それこそが、とりもなおさず音楽業界の復活にもつながってくると思うのですが。
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