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テレビニュースが露呈する日本語力低下


麻生首相が「未曾有」を「みぞゆう」といったといって、その国語力に疑問の声が上がっている。
まあそれが即支持率の低下につながっているとは考えづらいが、弱り目に祟り目ということだろうか。
いまだに、いろいろな場面で取り上げられている。
その声はメディアばかりでなく、議員仲間からも出ているという。

まあ、今更政治家の教養のなさを笑っても仕方がない。
問題にしたいのはテレビニュースの原稿だ。
最近、目を覆いたくなるようなことがあった。
今、自民党執行部の方針に造反し、離党騒ぎまで起こしている渡辺喜美氏の発言についてだ。
確か、TBSの夕方のニュースだったと思う。
氏の発言で、「○○に堕するつもりはない」というのがあった。
この発言ビデオでは、なんとスーパーで「○○を出すつもりはない」となっていた。
これでは発言内容まで変えてしまっていることになる。
「て、に、を、は」まで変えてしまったのだから大問題だ。
「堕す」は堕落というように、落ちるという意味。
つまり、氏の発言では、自分をそこまで落としこめるつもりはないという政治姿勢を主張していた。
それが「○○を出すつもりはない」では、前後の発言内容とも繋がらない。
ことによっては「離党届を出すつもりはない」と、氏の発言意図と逆のこととして捉えられる可能性すらでてくる。
そうなると虚偽報道だ。
単に「○○に堕す」という言葉を知らなかったでは済まされない。
ひょっとしたらこの記者、編集室で渡辺氏の「て、に、を、は」の使い方が間違っているなんてスタッフといっていたのではないか。
これほど大きな間違いの例まで行かないレベルでの誤用や言葉の間違いは頻繁にある。

全ての局のほぼ全てのキャスターに共通する傾向がある。
それは、ニュース原稿を読むスピードが早いのだ。
だから、原稿を読んでいてよく突っかかる。
聴覚に障害がある人や、目の不自由な人のことを考えたことがあるのだろうか。
耳から入る情報を大切にするというのはニュースの基本のはずだ。
もう少しゆっくり読めないものだろうか。
決まった時間に一つでも多くのニュースを詰めこもうとしているというのなら、局として再考する必要があるのではないか。

レベルの低さは放送記者が作る原稿の文章力にも表れている。
その一例が、一つの文が長いということが挙げられる。
キャスターによってはどこで区切ったらよいか迷った節があり、内容が不明瞭になるケースも少なくない。
それに加えて、読んでいる時に突っかかるから、どんなニュースか分からなくなってしまう。
もっと日常から作文の練習をするべきだ。
報道局の上層部がしっかり、指導・教育する必要があるのではないか。

その他にも無知ぶりや勉強不足は枚挙に暇はない。
時間を争う報道のことだから大目に見たいと思うところもあるのだが、でもメディア全体のレベル低下は避けて欲しい。
それは視る側の私たちにも影響が出てくることだからだ。
それにしても、こんな原稿を作っている人が日本の学力低下の報道をするというのはどうなんでしょうか。

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