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戦争モード一色の歳の暮れ


一昔前なら、師走の声が聞こえるとテレビは「忠臣蔵」が定番だった。
必ずどこかの局が豪華キャスト総出演を謳い文句に「忠臣蔵」を放送していた。
ところが今年はそんな気配は全くない。
それどころか、NHKを含め全局が太平洋戦争関連の番組を編成していた。
12月8日の特番というのなら分かるのだけれど…。
そして最終的にはテレビ朝日の「肉体の門」だ。
戦後の混乱期に蠢くパンパンの話。
なぜなのだろう????

そのいくつかは視るともなしにチャンネルをあわせていたのだが、?マークが頭の中を渦巻くばかり。
どれか一つでも秀作というものがあればよかったのだけれど、そんな番組はなかった。
特に民放のドキュメンタリーの制作能力の低下は著しい感がある。
とても残念。

TBSでビートたけしさんが東条英機を演じた「日米開戦と東条英機」も期待はずれ。
鴨下信一演出でさえ、何でこんな番組を作ったのだろうと思わせる内容だった。
この二人の名前だけで作品のレベルを期待した私が間違っていたのだろうか(-.-)。
番組のサイトでは「戦争にいたる軍部と政府の対立と妥協のプロセスを、東条英機という人物を軸に追い、当時の日本のシステム自体が抱えていた問題、欠陥と矛盾、そして起こる日本の悲劇を描いていく。」ということだが、この一文のように思い込みのみが先走っているような番組だった。
暇をもてあましていたから良いようなものの、クリスマスイブの4時間半を返せ~っといいたくなるような番組だった。

今年は昭和恐慌以来の金融危機に襲われている。
時代状況を考えると、もっとあの戦争を捉える切り口はあるのではないかと思える。
この昭和恐慌をきっかけに軍国主義に走っていった日本。
海外侵出を歓迎し、歓喜していた国民たち。
軍部の暴走。
それらがあって、遂に歯止めが利かなくなって突入した太平洋戦争。
あまりにも今年と似すぎた世相だ。
二度とあのような過ちを犯さないために、あの時代にはなかったテレビに課せられた使命はこんな形の番組を作るのではないはずだ。
それには、以前にも紹介した「”ヒロシマ” あの時、原爆投下は止められた いま明らかになる悲劇の真実」のような視点を持った番組を制作することではないのか。

なぜかとてもやりきれない。
テレビを視る気がしない。
テレビはもう「今」を見つめる目を失ってしまったのかな。

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