クイズ全盛の民放各局の編成の中で、注目したい新しい動きがある。
それは「心温まるよい話」番組たちだ。
フジテレビの「エチカの鏡」はその筆頭といえるだろう。
タモリさんが司会するこの番組は、これまであったものや今放送されている同じような番組の中でも秀逸な印象を受ける。
今まで徳光和夫さんや島田紳助さんなど涙もろい司会者を中心にゲスト出演者たちを泣かすことに力点がある番組が多かった。
ところが、涙はおろか、心温まるということを、きっと毛嫌いするタモリさんが出ることでスタジオの客観性が生まれた。
ただ、まだ1度しか見ていないので偉そうなことを断言はでないが、「泣き」を強要しないところに共感する。
番組のサイトでは「心にキク」番組だそうだ。
先週は『盲目のカメラマン』
カメラマニアだった夫はあるとき事故で視力を失った。
妻は彼のファインダーとなって、目に見える景色を細かくレポートする。
夫はそのレポートに従ってカメラを構え撮影する。
その写真は一般のカメラマニアに負けない秀作だった。
そんな夫婦愛を、ご夫妻の明るいコメントで綴る。
ナビゲーターとしてご夫妻と対面していた市毛良枝さんもあまり対象に踏み込まなかった。
そこがまた良い。
ご夫婦の暖かい空気が画面を通じて伝わってきた。
胸は熱くなり、男でも涙は浮かぶのだが、流れるほどではない。
そんなところが良い匙加減の演出のように感じられた。
視終わってからとても後味の良い番組に仕上がっていた。
これからもこうしたラインを守っていって欲しいと思う。
こうした「心温まるよい話」というのは昨年秋ごろだったか、NHKでも放送されていた。
錦織一清が銀河鉄道999の車掌のような設定で、毎回ゲスト(乗客)からいい話を聞くという設定だった。
残念ながらこちらは気がついたら終わっていた。
話を持ってきたゲストと取り上げる題材(投書?)に何の関連もなく、何のために来ているのか分からない番組だった。
列車の中という設定も不可解だった。
視ていて消化不良の感を否めなかった。
この番組をきっかけにしたのか、既にこうした傾向の番組はいくつか民放で始まっている。
きっとこれから増えてゆくに違いないと思っている。
でもこういう企画、10年近く前に日本テレビに出したんだよな。
そのときは歯牙にもかけられなかったけど…。
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